ファクタリングを利用する際には審査があります。ファクタリングは売掛債権を買い取るサービスなので売掛金の回収見込みがちゃんとあるのかを調べる必要があるからです。せっかく申し込んだのに審査で落とされたらがっかりしますし、無駄な手間になってしまいますね。そこで、本記事ではファクタリングの審査対策のために、審査基準と審査に通りやすくなるポイントについて解説します。
ファクタリングの審査で基準となる項目はおおむね決まっています。多くの会社では以下の5項目が見られています。
ファクタリングの審査で最も重要視されるのが売掛先の信用力で、中でも財務状態が良好かどうかが肝と言えます。なぜなら売掛先の資金繰りが悪化していたりすると売掛金を回収できない可能性があるためです。自社の財務状態が良好でも売掛先に危険な兆候があると審査に落ちる可能性がありますので注意しましょう。
支払期日については短いほど審査に通りやすくなります。なぜなら支払日までの期間が長ければ長いほど売掛金を回収できないリスクが高まるためです。
次に、売掛先の信用力だけではなく、利用者の信用力も考慮されます。複数のファクタリング会社に同じ売掛債権を売却したり(二重譲渡)、架空の債権を売却する(架空請求)など利用者による不正リスクが存在するためです。
また、ファクタリングの利用金額が利用者の売上額にそぐわない程大きな金額である場合など、不自然な取引に見えてしまうと、たとえ実際の取引に基づくものであったとしても、債権の実在性や回収の可能性について疑いが生じる場合があります。
最後に2者間ファクタリングか、3者間ファクタリングかも審査に影響します。一般的には3者間ファクタリングのほうが審査に通りやすくなります。2者間ファクタリングの場合、一旦利用者が売掛金を回収し、その後ファクタリング会社に回収金を支払う仕組みのため、利用者が売掛金を返済してくれないリスクがあり、その分、審査は厳しくなります。
上記をふまえ、ファクタリングの審査に通りやすくなるポイントを以下に解説します。
複数の取引先がある場合は、より社会的信用の高い売掛先の債権をファクタリング会社に売却しましょう。社会的信用が高い売掛先とは、例えば以下のような売掛先が挙げられます。
逆に信用が低いと見なされるのは、以下のような売掛先です。
資金調達を目的としてファクタリングを利用する際にはこれらの売掛先の債権は避けたほうが良いでしょう。
また、売掛先との取引履歴も重要な審査基準です。今までに何回も売掛金を滞りなく支払ってきた売掛先ならば信用力があるとみなされます。逆に取引歴が浅い場合は審査が厳しくなる傾向にあります。売却する売掛金は取引歴の長い売掛先のものを選びましょう。
できるだけ売掛先からの支払日が早く到来する売掛金をファクタリング会社に売却しましょう。あまりにも支払期日が先ではその間ずっとファクタリング会社はリスクにさらされることになり、審査が厳しくなる可能性があります。
世の中は何が起こるかわかりません。いくら業績の良い売掛先でも、不祥事や市場環境の変化によってあっという間に信用力が低下してしまう可能性もあります。よってファクタリング会社も売掛金の回収を長い期間待つのは嫌がるのです。資金調達の必要性が高いのであれば、支払期日が短い売掛金を売却するようにしましょう。
ファクタリングの審査基準の1つに利用者の信用力があります。これは単に財務状態が良いかどうかだけを見るわけではなく、誠実な事業者かどうか、何かトラブルが起こったときに隠したり騙したりしないかなど、利用者の性質面が重要視されます。
したがって、ファクタリング会社に対しては、誠実な振る舞いをするように心がけましょう。例えば、ファクタリング会社とのメールや電話のマナー、面談の際の服装や身だしなみにも気を遣うと良いでしょう。横柄な態度を取ったり、無茶な要求をしたりなど、不誠実な印象を与えてしまうと取引を敬遠される可能性があります。申し込む際の記入事項や面談の際の質問にも正直に回答しましょう。
売却する売掛金の金額は適正な額にしましょう。これは利用者の売上規模と売掛金の大きさの比率という意味です。例えば売上規模が年間3,000万円なのに1億円の売掛債権を売ろうとしても審査で落ちてしまう可能性が高いです。なぜなら売上規模が年間3,000万円の会社に急に1億円もの単一の売掛金が発生するとは考えにくいからです。
もちろん本当に大口取引が発生したケースもあるでしょう。しかし、年商の数倍規模にあたる突発的な仕事を完璧にこなせるかというと一般的にはかなりリスクが高いと言わざるを得ません。商品・サービスの納品後に深刻な瑕疵が見つかり、売掛金が減額されたり、売掛金を支払ってもらえなかったりするリスクがあると判断される可能性があります。そもそも、「架空の売掛債権を売ってだまそうとしているのではないか」などと疑われてしまう可能性もあります。
したがって、売却する売掛債権の金額は自社の売上規模と比較して適正な額にし、調達目的に則した利用金額に調整がするのが一番です。それでも、もし利用額が大きくなるようであれば取引の根拠を詳細に示すなど、通常より丁寧な対応が求められます。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの場合、3者間ファクタリングのほうが審査に通りやすい傾向にあります。なぜなら一般的に3者間ファクタリングのほうが売掛金の未回収リスクが低くなるからです。
ここで2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの違いをおさらいしてみましょう。
2者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の間だけで成立するファクタリングです。売掛先には債権が譲渡された事実を通知せず、通常通り利用者が売掛金を回収したあと、利用者からファクタリング会社に回収金を支払います。
一方で、3者間ファクタリングの場合は、債権がファクタリング会社に譲渡された事実を売掛先に通知します。そして売掛金は売掛先から直接ファクタリング会社に振り込まれます。
つまり、2者間ファクタリングの場合、利用者を経由して売掛金がファクタリング会社に入金されるため、そのぶんリスクが高くなるのです。利用者が預かった売掛金を振り込まず、損失を被る可能性があるためです。
したがって、2者間ファクタリングよりも3者間ファクタリングの方が審査ハードルが低い傾向にあります。審査に通るためには、特に理由がない限り3者間ファクタリングを選んだほうが良いでしょう。
ファクタリングには審査があり、複数の審査基準によって判断されます。しかし、適切に対応していればそこまで厳しい審査ではありません。重要度では売掛先の信用力が最も高いですが、他の項目にもできるだけ気をつけましょう。審査の本質は「売掛金が確実に入金されるのかどうか」を確認することです。それをファクタリング会社に理解してもらえるようにしっかりと説明しましょう。